<判決日>
2001年12月11日
<裁判所>
マサチューセッツ州地方裁判所
<ポイント>
電子メールも詐欺防止法(Statute of Frauds)の書面に該当し、契約は有効である。
<要約>
原告と被告は、被告所有の不動産の売買に関し、電子メールで交渉を行い、最終的に、金額も合意に達した。原告は、この契約の履行を求めたが、被告は、この契約は書面でなされておらず、被告の署名もないので、詐欺防止法(Statute of Frauds)に違反し無効であると主張した。詐欺防止法とは、詐欺の防止を目的として、土地の売買など一定の契約について、書面による合意がない限り、契約を無効とすると定める法律である。
裁判所は、電子メールの最後に被告の名前がタイプされていること、先例も電報による契約も詐欺防止法に違反せず有効であると判断していることなどを理由として、本件契約も有効であると判示した。
<コメント>
詐欺防止法の趣旨から、当事者の契約意思が明確になっていれば契約を有効と考え てよいという判断であり、電子メールによる契約承諾の意思表示もこれに該当するとしたものである。日本では、この点を明確にするため、いわゆるIT書面一 括法(書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律)が制定されている。
<参考サイト>
Phillips Nizer Benjamin Krim & Ballon LLP