<判決日>
2002年2月6日
<裁判所>
第9巡回連邦控訴裁判所
<ポイント>
画像検索サイトが検索された他人の画像のサムネイル版を表示することはフェアユースと認められ、著作権侵害に該当しないが、元の画像にリンクを張り、これを自社のサイトのフレームの中に表示することはフェアユースとは認められず著作権侵害になる。
<要約>
被告(被控訴人)Arriba Soft社は、自動巡回機能をもつ画像サーチエンジンを用いて画像検索サイトを運営していた。被告サイトの機能は、大きく2つあり、①検索された画像のサ ムネイル版を作成し、これを一覧表示することと②このサムネイル画像をクリックすることにより元の画像にジャンプできることであった。②のリンクは、リン ク先のサイトを自分のサイトの枠内に表示するいわゆるフレームという方法が用いられており、利用者は、被告のサイト内であるかのような誤解を招くもので あった。原告(控訴人)は、プロの写真家であり、撮影した写真を自己のサイトに掲載していた。
原告は、自己の写真が被告のサイトに掲載されていることを知り、著作権侵害であるとしてカリフォルニア州中央地区の連邦地方裁判所に提訴したが、裁判所 は、被告の利用方法は、フェアユースに該当し、著作権侵害は成立しないと判断した。これを不服として原告が控訴したのが本件である。
控訴裁判所は、サムネイル版は元の画像に比べて小さく画素数も低いので、利用者がこれをコピーしたり拡大して利用したりする可能性は低いとして、①の行 為はフェアユースに該当すると判断した。しかし、元の画像に直接リンクし、これを自社の広告等を載せたサイトの中にフレームとして取り込むことは、フェア ユースの範囲を超えているとして、②の行為は著作権侵害に該当すると判断した。
<コメント>
通常の検索サイトが検索されたサイトの一部をテキストで表示することは著作権侵害と考えられないであろう。それと同様に画像検索サイトが検索されたサイトの画像をサムネイル版で表示することも著作権侵害とならないと判断されるのも妥当であろう。
他人のサイトへリンクを張ることは著作権侵害に該当しないと考えるのが通常であるので、画像を含む他人のサイトへリンクを張ることも著作権侵害に該当し ない。上記②の行為が著作権侵害とされたのは、フレームを行ったことが原因である。
<参考サイト>
Imaging Resource
BNA’s Patent, Trademark and Copyright Journal (原審判決)